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e-bookの現状

70年代初頭〝自分史〟という言葉が市民権を得た 
素人でも本を作ることが出来る
好機到来と感じたのは本を書きたい人だけではなかった
自尊心につけ込んで多額の費用をふっかける業者達が雨後の筍の如く出現宣伝合戦ガ始まった
悪質業者の台頭だ
 
私のアトリエを訪れ「返品の本が山のようにあるどうしたらいいか?」という相談が度々
「一度契約した以上どうすることもできない」
非情だが そう答える

その後 野良のたき火が消えるように 自費出版の動きが薄くなった 本当の意味を悟ったらしい
目的を失い〝虚無の世界〟と化した今の社会だが
 今なお自伝を忘れられない人が健在だ
漫画やゲームに熱中する成人できない大人達のなかで 自我の確立を成就した表現者の存在が心強い
 
だが 自費出版は多額の金が要る この過去の現実に半ば諦めムード

都合良く〝電子書籍〟が産声をあげ日々急速に進化を始めた

そこで クライアントの負担を最小限にとどめる方策の目処がついた  
 
多くの文学賞がある 過去に日本文学賞審査員をした
その時の受賞作品殆どが純文学・自分史だ
何故そうなるのか
作品のなかに真実があるからだろう 勿論自慢話などない
ノンフィクションのみが持つ実体験が無限大の力を発揮する所以
自伝執筆に文才など無用 生きた証が文才なのだ
自伝を書いて受賞しても 後が続かない作家の卵が大勢居る
受賞後もフィクションを続けられる作家は本物だが 
数が知れている
ここに 自分史の偉大なる力がある
                自伝作家 よしいふみと
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